歯周病はコントロールできる病気です

歯周病は、多くの人々の生活に潜んでいる隠れた敵です。
一度発症してしまうと、完全に治すことは難しいと言われています。
しかし、その進行を止め、日常生活に影響を及ぼさせないための「コントロール」は可能です。
このコントロールの秘訣は、単に歯医者さんの治療を受けるだけではありません。
それよりも、患者さんご自身の日常的なケアが非常に重要となります。
歯周病との闘いは、医師と患者さんが一緒になって取り組む必要があります。
歯科での治療と、自宅でのセルフケアの両方が、健康な口腔を維持するための鍵となります。
私たちは、そのサポートを全力で行いますが、患者さん自身の意識と行動が最も重要です。

歯周病の原因

歯周病は、多くの人がかかる可能性のある歯の病気であり、適切なケアがなされない場合、歯の喪失につながることもあります。
では、歯周病の主な原因は何なのでしょうか。

細菌の蓄積

歯周病の主要な原因は、口腔内の細菌です。
これらの細菌は、食べ物の残りや唾液と結合して歯垢（プラーク）を形成します。
定期的なブラッシングやフロッシングを怠ると、歯垢は歯石に硬化し、さらに多くの細菌が蓄積します。

喫煙

タバコは歯周病のリスクを高めます。
喫煙者は、非喫煙者に比べて歯周病になりやすく、治療の効果も低下します。

その他の疾患

糖尿病や心疾患など、特定の疾患は歯周病の発症リスクを高める可能性があります。

不適切な口腔ケア

正しいブラッシングやフロッシングの方法を知らず、または怠っていると、歯周病のリスクが上がります。

ホルモンの変動

妊娠、月経、更年期など、ホルモンの変動は歯茎の感受性を高め、歯周病のリスクを増加させることが知られています。

これらの原因を理解し、適切な口腔ケアや生活習慣の改善を行うことで、歯周病のリスクを大幅に減少させることが可能です。

歯周病のステージ別特徴

歯周病は、放置することで徐々に進行し、最終的には歯の喪失に繋がる恐れがあります。
歯周病の進行における各ステージの特徴を解説します。

歯肉炎

• 最も初期の段階。
• 歯茎が赤く腫れ、磨いた際や触ったときに出血することが多い。
• 正しいブラッシングやプロのケアで、この段階での症状はほぼ完治可能。

初期歯周病

• 歯と歯茎の間に「歯周ポケット」と呼ばれる隙間ができ始める。
• 歯茎の出血や腫れがより顕著に。
• 歯石やプラークの蓄積が見られる。

中等度歯周病

• 歯周ポケットがさらに深くなり、4mm以上に。
• 歯の骨が少しずつ失われる。
• 歯が動きやすくなることがある。
• 歯茎の腫れや出血が頻繁に。

重度歯周病

• 歯を支える骨が大きく失われ、歯周ポケットが7mm以上に。
• 歯が大きく動く、または位置が変わる。
• 歯茎の腫れ、出血、痛みが常状態。
• 歯の喪失のリスクが非常に高まる。

歯周病の進行は、適切な治療やケアがなされない場合に起こります。
初期段階での発見と治療が、歯周病の進行を防ぎ、健康な口腔環境を維持するための最も効果的な方法です。
定期的な歯科医院での診察と、日常の適切なオーラルケアが不可欠です。

歯科医院でのアプローチ

歯周病の治療は、プロの手による専門的なケアが欠かせません。
歯科医院での歯周病治療の主なアプローチを解説します。

初診・診断

歯周病の進行度や状態を把握するためのX線撮影やポケット測定などの詳細な検査が行われます。これにより、患者さんの状態に合わせた治療計画が立てられます。

スケーリング・ルートプレーニング

歯石やプラークの除去を目的とした治療。
特に歯の根の部分（ルート）のクリーニングは、歯周病治療の基本となります。

歯周手術

進行した歯周病の場合、ポケットの深さを減少させるための手術や、失われた骨の再生を目的とした手術が必要となることがあります。

レーザー治療

最新の技術を活用して、歯周病菌を効果的に除去。低侵襲で痛みを最小限に抑えることができます。

定期的なメンテナンス

歯周病の再発を防ぐため、定期的なクリーニングや検査が必要です。これにより、初期の段階での再発を早期に発見・治療することが可能となります。

歯科医院での治療は、患者さんの自宅でのケアを補完し、より効果的な歯周病のコントロールを実現します。
定期的な通院と、専門家のアドバイスや治療に従うことで、歯周病の進行を防ぎ、健康な口内環境を保つことができます。

炭酸ガスレーザーとEMSエアーフロー

歯周病治療の技術は日々進化しており、特に炭酸ガスレーザーとEMSエアーフローは、効果的な治療手段として注目されています。

炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザーは、歯周病菌を効果的に除去する治療法です。
特に深い歯周ポケットや炎症を伴う部位に対して非常に効果的です。
さらに、このレーザーは組織を切る能力も持つため、必要に応じて歯肉の手術も行うことができます。
痛みや出血が少ないのが特長で、治療後の回復も早いとされています。

EMSエアフロー

革新的な予防とメンテナンスのパートナー
歯科治療の未来を切り開くEMSエアフローは、歯の健康を最前線で支える革新的な技術を持っています。
GBT（Guided Biofilm Therapy）の考えに基づいて設計されたこのシステムは、歯の表面に付着するバイオフィルムを効果的に除去することで、虫歯や歯周病、インプラント周囲炎などのリスクを低減します。

1. 効率性
   エアフロー技術を利用してバイオフィルムを取り除くため、従来の手用器具や超音波機器の使用が大幅に減少。これにより、治療時間の短縮と患者の快適さが向上します。
2. 安全性
   過度な研磨を行わず、必要な部分だけを効果的にアプローチ。歯やその周辺の組織を傷つけることなく治療が可能です。
3. 独自の清掃技術
   エアフローパウダーを使用することで、従来の研磨ペーストが届かなかった部位まできっちりと清掃。
   さらに、研磨による歯のエナメル質の損失を防ぎます。

最新のエアフローハンドピースは、噴射音を減少させ、パウダーの使用量を22％削減し、エアロゾルも60％減少。
これにより、患者と医師の双方にとって、より快適で効果的な治療が実現されます。

EMSエアフローは、歯科治療の新しい標準を築くための強力なツールとして、患者の口腔内健康を守るための最前線に立っています。

セルフケアの重要性

歯周病は、専門家による治療だけでなく、日常のセルフケアが非常に重要です。
家庭での適切なケアにより、歯周病の予防や進行の遅延を図ることができます。

正しい歯磨き

毎日の歯磨きは、歯周病の基本的な予防策です。
しかし、ただ磨くだけではなく、方法も重要です。
歯ブラシは歯茎の縁から45度の角度で当て、短い動きでやさしく磨くことを心がけましょう。
電動歯ブラシを使用すると、効果的にプラークを除去できます。

歯間ブラシ・フロスの使用

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の細かい部分を完全にクリーニングするのは難しいです。
歯間ブラシやフロスを日常的に使用し、歯間の汚れや食べ物の残りをきれいにすることが必要です。

殺菌効果のあるうがい薬

歯周病の原因となる菌を減少させるために、殺菌効果のあるうがい薬を使用すると良いでしょう。

セルフケアは継続が鍵です。
毎日の少しの努力が、健康な歯と歯茎を維持するための最も効果的な手段となります。

歯周病と全身の健康

歯周病は、単なる口腔内の問題にとどまらず、全身の健康にも大きな影響を及ぼすことが知られています。

心血管疾患

歯周病が進行すると、歯周病菌や炎症物質が血流に入り、心臓や血管に影響を及ぼす可能性があります。
これが、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めると考えられています。

糖尿病

歯周病と糖尿病は、互いに影響し合う関係にあります。
歯周病が進行すると、インスリンの抵抗が高まる可能性があり、逆に、糖尿病のコントロールが不十分な場合、歯周病の進行を促進させることが知られています。

妊娠と出産

歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを高める可能性があるとされています。
妊娠中の女性は、歯周病のリスクが高まるため、特に注意が必要です。

その他の疾患

歯周病と関連が疑われる疾患には、リウマチや肺炎、認知症などもあります。
これらの疾患と歯周病との関連については、さらなる研究が必要ですが、口腔の健康が全身の健康に密接に関連していることは明らかです。

歯周病の予防と早期治療は、全身の健康を維持するためにも非常に重要です。
定期的な歯科検診と日常の口腔ケアを怠らないよう心がけましょう。

歯周病との闘いは早め早めが吉

歯周病は、早期発見と適切な治療が鍵となります。
症状が進行する前に、定期的な歯科検診と日々のセルフケアを怠らないことが大切です。
そして、もし歯周病の兆候を感じたら、すぐに専門家の意見を求めましょう。
私たち歯科医療のプロフェッショナルは、あなたの美しい笑顔と健康な口腔を守るために、最新の知識と技術を駆使してサポートします。
歯周病という隠れた敵との闘いは、一人での戦いではありません。
私たちと一緒に、健康な口腔と明るい未来のためのステップを踏み出しましょう。